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買い物に行かれた時に醤油の棚を見るとたくさんの商品が置かれています。 ひとことに醤油といってもたくさんの種類があるのをご存知でしょうか? 最も多いのが「こいくちしょうゆ」。 そして関西で主に使われている「うすくちしょうゆ」、その他に「さいしこみしょうゆ」「しろしょうゆ」「たまりしょうゆ」の全部で5種類あります。 現在ではしょうゆにだしを加えた「だししょうゆ」も続々登場していますがこれらは「しょうゆを使った加工品」という概念になりしょうゆの種類には入っておりません。 では早速本題でありますしょうゆ選びのコツについて蔵人が伝授いたします

醤油選びのコツ 其の一、 裏面を見るべし!
ラベルにそのナゾが隠されています。四角い枠で囲まれているところに注目してください。まず「名称」の欄についてこの項目は先述の醤油の種類について記載されています。

こいくちしょうゆ(本醸造)などです。

ここで本醸造という言葉が出てまいりましたがこの意味は別途末尾に記載いたします。

次に「原材料名」無添加のしょうゆであれば大豆(脱脂加工大豆=あらかじめ大豆の油分を抜いたもの)、小麦、食塩となっています。

また、原材料表示は使われている食品素材の多いもの順となり次に食品添加物や化学調味料などが多いもの順で書かれています。

そのため、純粋なしょうゆの味を味わいたい場合は「大豆(または脱脂加工大豆)、小麦、食塩」までが純粋なしょうゆの原料ですからこの表示のものを買うといいでしょう。


本醸造とは・・・

昔からの造り方で微生物の力を100%利用した醸造方法でつくられたしょうゆの呼び方です。

その他に「混合」「混合醸造」があります。ちなみに「混合」はアミノ酸液を本醸造に合わせたしょうゆ。「混合醸造」は本醸造を搾る前にアミノ酸液を混ぜてしばらく熟成させたものをそう呼びます。この2種は比較的新しい造り方です。

詳しくは後ほど説明いたします。

醤油選びのコツ 其の二、 開封後一か月程度で使い切れる大きさのものを選ぶべし!
ラベルに記載された賞味期限はあくまでも開栓前の状態で保存できる期間です。

栓を開けた後は1ヶ月程度で使い切ることが望ましいといわれています。

こんな経験ありませんか!インスタントコーヒーを初めて開けた時は非常に良い香りがしたのだが、毎日使っているうちに蓋を開けても香りがしなくなった。

醤油も同じなのです。開栓をして使うたびに容器中の空気が入れ替わり、また、だんだんと醤油の容積より空気の容積が多くなってきます。

しょうゆが苦手とするものは空気(酸素)です。しょうゆは酸素と触れると徐々に酸化していき、香りが減っていくのです。

しかし、さいさい醤油を買うのは面倒くさいなどいろいろ事情があると思いますので、大きな容器のものを選び、且つ最後までおいしくお召し上がりいただく秘訣を伝授しましょう!

その秘訣は、大きな容器から小さな容器へ移す。例えば1リットルのしょうゆを買われた場合は500mlの容器2本へ移し換えてください。

しかしここで注意が必要です。移し変える容器はよく水洗いして完全に水気がなくなるまで乾かしてください。そうしないと、水分がしょうゆを劣化させてしまいます。

また、容器自体の材質にも注意が必要です。当たり前のことですが、しょうゆは塩分を持っています。お酒の小ビンなどは栓が金属でできているため錆びてしまいます。また、コルク栓はコルク部がしょうゆの成分でぽろぽろと崩れることがあります。

様々な容器がありますが、やっぱりおすすめはガラス瓶でキャップがプラスチックのものを用意するのが良いでしょう。そして移し変えた後は冷蔵庫で保管してください。

造り方の違うしょうゆそれぞれが持つ最大の魅力についてとそのしょうが得意とする料理とはどのようなものでしょうか。

こいくちしょうゆは万能しょうゆ
比較的どのような料理に使われても難なく味を整えることができるのはこいくちしょうゆの最大の魅力です。他のしょうゆに比べてどのような料理シーンにもよく合います。

しかしながらその万能しょうゆにも最大の弱点が隠されています。それは色の問題。

こいくちしょうゆは食材の色を楽しむ料理には向かないということです。

例えば春、たけのこを煮るときこいくちしょうゆを使い味を調えると色が濃くなってしまいます、しょうゆは煮るなど加熱することにより色がだんだんと濃くなってきます。

もちろんほとんどの料理において最後に醤油を入れて味を調えるのは言うまでもありません。
うすくちしょうゆは料理に色がつきにくいのが最大の魅力
うすくちしょうゆの使い方は他のしょうゆと比べるとちょっと違うようです。こいくちしょうゆはしょうゆの味を料理に最大限活かすことが求められます。(たくさん使うというのではなくしょうゆのモチアジで料理を活かすこと。)

しかし、うすくちしょうゆは食材そのものの味を楽しめるようにしょうゆの味は目立たないことが望まれているように思えます。

また、うすくちしょうゆは塩の代わりに使う場合が多いのだそうです。考えてみると確かにこいくちしょうゆを使う場合は、塩加減に塩を足したりしますね。

しかしうすくちしょうゆの使い手が多い関西では塩の代わりにしょうゆで料理の塩味を整えるそうです。

塩をつかうと料理がしょっぱくなりますが、原料として塩を使い熟成させるという工程を経たしょうゆは、一般的に言われる「塩かど」がとれ、上品な塩の味になっています。

(醤油蔵では「月日の経たないしょうゆは塩かどが経つ。」また「短期間熟成しょうゆは塩辛い」と云われ、しょうゆを長期間熟成させることは大切な要素なのです。)

そしてそんなうすくちしょうゆの魅力が最大限引き出されたものが京料理だといえます。

うすくちしょうゆは塩味を整えるしょうゆであり、旬の素材に色をつけないことが求められるものであるため、うすくちしょうゆは塩分を高くして造られることでさらに使う量を減らすことができるように工夫されています。

うすくちしょうゆはこいくちしょうゆに比べ塩辛いということをよく耳にしますが、実際には使い手の立場を非常に深く考えて造られているしょうゆといえるでしょう。
さいしこみしょうゆは山口県で誕生したしょうゆを超えたしょうゆ
さいしこみしょうゆはその発祥といわれる山口県とその周辺地域で主に造られているしょうゆです。

醤油造りは原料となる大豆・小麦で麹(こうじ)をつくり、塩水と一緒に仕込み桶に入れ醗酵・熟成させますが、このさいしこみしょうゆは塩水の代わりに搾ったしょうゆを使います。

言い換えると「醤油をつくり、また麹とともに桶に戻しさらに醗酵熟成させる」という非常に手間も時間もかかるつくり方なのです。

日本全国でのさいしこみしょうゆの出荷量は1%程度といわれ、実際にこのしょうゆを見ることは少ないはずです。

そしてそんなさいしこみしょうゆの魅力は、他を寄せ付けない濃厚な味と香りにあります。主につけしょうゆ・かけしょうゆとして使われることが多いようです。

さしみを買われたときにしょうゆがついていますがその名称を実際に見てください。まれに名称の欄へさいしこみしょうゆとかかれたものがあります。

※ほとんどが名称:こいくちしょうゆで色が非常に濃いものでしょう。
(人工的にカラメルで色素を足し、増粘剤でとろみをつけてさいしこみしょうゆに似せている)
正反対の要素をもつたまりしょうゆとしろしょうゆ
蔵により差はありますが、たまりしょうゆとは大豆9:小麦1で麹をつくり仕込まれたものであり、反対にしろしょうゆは大豆1:小麦9で麹をつくり仕込まれたものです(蔵により配合には若干の差があります)。

他のしょうゆの原料配合が大豆・小麦ともほぼ等量(5:5)程度の割合で造られますので非常に極端な配合になっています。

ではなぜそのような割合で造るのか、大豆のみ小麦のみでは造れないのかと疑問に思われるでしょう。

「しょうゆ」は大豆及び小麦を原料としてつくられたものでなくてはならないと定義されています。

大豆のみや小麦のみで造られたものは「しょうゆ」と呼ぶことはできないことになっているのです。

さて、それではそれぞれのしょうゆの特徴についてですが、大豆を主原料とするたまりしょうゆは色が非常に濃く、とろみもあり、照り焼きなどの際に良く使われます。

一方、小麦を主原料とするしろしょうゆはほとんど色がなく透き通っています。うすくちしょうゆでも再現できない食材がもっている色彩豊かな料理を実現できます。

しょうゆの醸造方式については本醸造・混合醸造・混合の3種類があることはご説明いたしましたが、それぞれについてもっと詳しくご説明いたします。

本醸造とは日本古来より変わらぬ醸造方式
昔から変わらぬ造りかたとは麹菌・乳酸菌・酵母菌など様々な微生物の活動を有効に利用した造りかたのことです。

”昔と変わらぬ”とはいえ機械による自動化など醤油造りも多かれ少なかれ現代風に変化しておりますが、しょうゆも化学の進歩とともに全く新しい造りかたが生まれたことで本醸造という定義も生まれたのでしょう。
混合醸造とは化学の力と微生物の力を結集し生まれた新しい造りかたのしょうゆ
ここでいう化学の力とは一体どのようなものなのでしょうか。本醸造は微生物の力を利用した造りかたでした。

言い方を代えるとしょうゆは原料となる大豆・小麦を微生物の力でゆっくりと時間をかけて分解したものです。

そしてしょうゆのおいしさの秘密はたんぱく質などの分解の程度に大きく関わっています。

そこで、大豆・小麦を微生物ではできないレベルまで化学的に分解することで微生物では醸せない旨みをつくりだしています。

その化学的につくられたしょうゆのことをアミノ酸液と呼んでおります。

(アミノ酸液とは→化学の力(酸)でたんぱく質等を分解した調味液のことで非常に強い旨みを持っています)

そしてこのアミノ酸液を本醸造の諸味に混ぜ一定期間熟成させて出来上がるしょうゆを混合醸造と呼んでおります。

数年前は新式醸造と呼ばれていました。

※現在では酸分解のほかに酵素の力で分解したものもつくられはじめました。
もうひとつのつくり方、混合
混合醸造についてはさきほど説明した通りですが、では混合醸造と混合の違いは何でしょうか。

”醸造”がついていないだけ・・・その通りです。混合はアミノ酸液と本醸造を混ぜ合わせた後、熟成させていないしょうゆです。 ではどのようにつくるのかということになりますが、諸味を搾り固形分と分離した生揚しょうゆ(きあげしょうゆ)に混ぜすぐに加熱・味付け・濾過等の製造工程を経てビンやPETなどの容器に充填します。

そして数年前までこの方法も新式醸造とい呼ばれておりましたが、現在では熟成期間を持つつくり方と区別することとなり「混合」と呼ばれるようになりました。

機会があればこの3種類を食べ比べてみてください。それぞれに特徴があり新たな発見があるかもしれませんよ。。